ハムの作り方について ②
塩漬けが終わった後の塩抜きの工程から説明を続けます。
塩漬けの工程では外から中心に向かって味が浸透していくので、中心部に味が浸み込んだ段階では外側が塩辛くなるため流水につけることで全体を均等にしていきます。時間は肉塊の大きさや、塩分濃度で左右されるので一概に言えません。最初は端っこを少し切り取ってから焼いて味を見ることで目安にします。
次はタコひもなどでグルグルと縛っていきます。これは型崩れを防止するとともに、お肉に圧力をかけることで締まりをよくして旨味を閉じ込めます。しっかり縛ることで食感も旨味も変わってきます。お肉がひもで切れてしまう手前まで縛るので結構重労働ですが、ここでしっかりとハムの形を作ることが大切です。
ここまで来たら後は仕上げです。燻煙してもいいし、そのまま加熱処理してもいいでしょう。燻煙する場合は初めの乾燥が重要です。表面をしっかり乾燥させないとせっかくの燻煙の色がつきません。乾燥中に温度が上がるのも良くないので扇風機などで風を吹き付けると早く乾きます。私たちは桜のチップを使いますが、物によっては松の実やヒノキの葉を入れたりします。また、チップは乾き過ぎていると煙の出が悪いので、火が消えない程度に軽く湿らせるのもポイントです。その後ボイル、スチームボイル、オーブンなど様々な方法で加熱処理して完成です。出来立ては香りが立っていて、すぐに味見をしたいところですが、そこは我慢して1晩寝かせるのも大事なポイントです。出来立てを切ってしまうと折角の肉汁が流れ出て旨味を逃がしてしまいます。粗熱が取れたら冷蔵庫で寝かせることで旨味が閉じ込められ、味が落ち着いてきます。出来立てを料理としてその場で食べるなら、それはそれで最高の料理になると思います。
ハムは初めはロースなどの肉の塊です。そのまま切って焼いても美味しくいただけます。それを時間をかけて塩漬けしながら熟成させ、煙で燻す、という昔ながらの製法で美味しいハムが生まれるのですから驚きです。技術は進歩し、様々な製法がありますが、基本に忠実な飾らないハムもいいものです。